Q&A・感想

No.252 Q:素朴な疑問なのですが、「戦術」と「かけ引き」は、具体的にどう違うのでしょうか?
又、「運動技術」と「(格闘技の)かけ引き」は、具体的にどのような関連性があるのでしょうか?
A:それらは単純に「段階の違い」にあります。

ベース(基本)となる正しい運動技術を経て、実際に使えるかけ引きが成り立ち、実際に使えるかけ引きを基に有効的な戦術を組んでいけるからです。

「(基本となる)運動技術→(応用となる)対人かけ引き→有効戦術」の順で成立します。

つまり、「戦術」を構成するのが「かけ引き」であり、「かけ引き」を構成するものが「運動技術」な訳です。

従って、基本となる運動技術が間違っていれば、その後のかけ引きや戦術は全く別のものになり、又は全く成立しなくなります。


具体的には先ず、一つ一つの運動技術(視界の広さ・リラックス・速筋のみの反応・動作・バランス・連動・タイミング・フットワーク・間合い等)を極める事で初めて、対人相手に正しい(最も効率の良い)かけ引きができるようになり、
実際に高度なかけ引き経験を積む事で初めて、より有効的効果的な戦術を理解出来る(試合や戦いにおいて実際に成り立つ計算ができる)訳です。

『最高の運動技術→(最高の運動技術を応用した)最も効率の良いかけ引き→(それぞれの試合や実戦状況における)最も有効的効果的な戦術…延いては、最強の格闘技』となる訳です。


《補足》

ちなみに、だからといって初心者の段階(必要性や重要性が分からない段階)で、全ての基本を最初から詰め込んでも前回に説明した「学習の原理原則(学習効果やメカニズム)」によって、生徒達がそれらを実際に吸収する事はできない訳です。

むしろ基本の意味も必要性も全く感じて無い段階で詰め込む事で、実際にそれらを使用する状況で応用に結び付かなかったり、基本そのものを忘れて去っている(実際に全く身についていない)訳です。

従って実際には「基本→応用→高い壁→再び基本の見直し→…」というように、次の段階や壁(限界)に突き当たる事で初めて新たな基本技術が必要となり、(その都度必要となる基本技術を得るために)再び元の基本を見直したり新たな基本技術を模索・開発する事で更なるステップへと進化していける訳です。

そうする事で同時に、間違った基本技術や不要な練習を事前に排除できる(間違った習慣やクセがつく前に排除できる)訳です。

言いかえれば、先の目的が具体的に見える事で初めてそのために必要な基本のみを効率良く学習・習得できるのです。


《アドバイス》

基本とは、そもそも肩書きや権威(立場など)で決まるものではなく、その分野で実際に技術を向上させるために深く幅広く修練する事で得てきた質の高い経験の積み重ねを基に初めて正確に見極め判断できる「奥義」であり、逆に言えば誰でも簡単に分かるものではないのです。

そのため(一般的に分からないのをいい事に)、逆に、その部分を利己的に解釈したり、洗脳や詐欺商売に悪用しているパターンが意外に多いのです。

そういう意味を含めて(どんな一般・専門分野においても)先ずは自分自身の実感や必要性に応じて柔軟に学習したり習得する事が不可欠なのです。



 2008/05/11 23:07:55


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