Q&A・感想

No.265 Q:結局、どんな技術も知識として伝えれば、(情報の横流しによって)誰が教えても上達する(成功する)のでは?
A:大変良い質問です。

先ず、答え(正解)から言いますと、実際には不可能(通常、一般的には無理)です。

なぜなら、その人やその状況によっても、出来ない原因はそれぞれ違い、千差万別あるからです。

そもそも指導というものは、その選手個人に対するアドバイスであり、当然その個人の性質や今の状態を見抜いた上でのアドバイスですので、そのまま他の人に移行する事は(一概に)出きません。むしろ状況によっては逆効果になるケースも多々あります。

体の動作一つにおいても、根本的な問題…基本動作やフォームやバランスなどの問題があるのに、高度な動き(高度な発展形の技術)を教えてしまうと、体全体のバランスやタイミングが大きく崩れて、逆にパワーダウンになってしまいます。


試合等でのセコンド・アドバイスの例をとっても、そもそも戦術やアドバイスというものは、その選手の「出来る事」と「出来ない事」や、相手選手と比較した上での「どこが長所」で「どこが短所」かを的確に見抜かなければ、その戦いの中で的確なアドバイスを送る事は絶対にできません。

指導においても同様で、初期の段階でのある程度共通した課題もありますが、実際には100人いれば100人、それぞれの原因(個人の動きのクセや捉え方、段階や課題など)が全然違います。

従って、それらがわかる高度な経験を積んだ本物の目で見て判断しなければ、実際に効果を出したり、実際の状況を改善する事など到底不可能な訳です。

具体的に「間合い」を改善するにも、それをやるための「その状況における組み立て(戦術や受け返し等)の問題」があったり、「その戦術」を行うにしても、「個々の体勢やバランス、タイミング、フットワーク、視界等の問題」があったりする訳です。

もちろん、習う側個々のやる気や理解力によっても大きく違ってきます。

いずれにせよ、教える側も、教わる側も、経験の浅い人間が複雑高度な現実に情報だけで対応する事は不可能な訳です。


従って、実際の効果をちゃんと正確にわかっている者が現場でアドバイス指導しなければ何も成り立たないし、むしろ状況によってはその戦術やアドバイスが逆効果になって相手にカウンターをもらってしまう最悪な結果にもなりかねないのです。
(実際、その様な状況は一般的によく見られます。)

事実、格闘技の試合などでもそのような最悪の事態が頻繁に起こるため、重要な試合では関係者以外(野次馬的な応援や部外者等)は絶対セコンドに入れてはならない。というのは格闘技業界においても常識であります。

これは要するに、「安易なもの」や「ただ」ほど高くつくものは無い。という教訓でもあります。

※ちなみに試合などの現場で、仮にどんな達人がセコンドについて的確なアドバイスをしても、その場の応急処置はできても(自分達の選手を優位に立たせる事は出来ても)、その選手個人の根本的な実力差の部分で限界があるため、アドバイスだけで100%勝たせる事は当然不可能です。


《補足》

情報をいくら得ても、それは「情報の横並び」でしかなく、どの情報が正しいかを悟る「判断力」にはなりません。

仮にどんな正しい情報であっても、所詮、情報はただの情報でしかなく、人を育てれる優秀なコーチ的な作業(実際の状況を見抜いて的確なアドバイスやコツを伝えて、じっくり人を育てる作業)とは全く違います。

プレイヤーとして、コーチとして結果を出す(実際に使える技術を身につける・実際に効果を出す)という事は、低い現状に甘んじる事なく、より上を目指すために根本原因から向き合い、基礎原理から発見・開発して、より有効的効果的な技術を徹底追及開発して実際に身に付け成功してきた高度な経験を積んだ本物達にしか成し得ない達人や匠(たくみ)ならでは技(トータルで極めてきた高い能力)なのです。

頭の中だけで「使える情報を得る」という事と、それが「実際に出来る」という事では全く意味が違い、実際に「聞く」と「出来る」とでは天と地ほど差があるという事!
(ちなみに、実際に当道場に通って実際にできる事と出来ない事を比較検証しながら練習してきた人達は大なり小なりわかると思いますが。)

しかし一般の現代人は、情報だけ知って納得し、実際に安易にできるもんだと油断している危険なケースが目につくのも事実です。

当道場ではそのような危険な机上の空論を一切排除し、基礎から高度な技術まで実際に対応できるように(実際にできる事を実際にできるように)技術管理指導していきます。

現代は、無責任な情報まであたりまえに氾濫した歪んだ社会環境なだけに、いくつもの選択肢があるように思えるかもしれませんが、実際に使える本物の技術を教えれる所は世界中探しても(いつの時代も)極めてごく一部だけで、本物の指導環境ものとで地道に通い訓練してこそ初めて使える技術が実際に身につくという事です。



 2011/10/27 15:51:06


ホーム
項目
後No.
前No.